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福岡市認可障害者就労継続支援 株式会社マザーアース

EPISODE-01「運命の診察室」


:視界の異変は、人生の転機だった

あれは、なんでもない平日の午後だった。
買い物のついでに寄った眼科で、医者が目を細めてこう言ったんだ。「…これは、ちょっと大きな病院に行った方がいいですね」って。
その瞬間、背中に冷たい風がスーッと吹いたような気がした。まさか、そんなにヤバい話だったとはなぁ…。

紹介された総合病院での眼科検査は、光を当てられ、目玉を覗かれ、時間もかかるしで。
でも、診断名を告げられたときは、妙に冷静だった。「網膜色素変性症ですね」と、医者は淡々と言うけど、こっちは人生変わるんだぜ。

ただ、変なもんで、絶望のどん底にいるはずなのに、帰り道の風景がどこか違って見えたんだ。
見えてる範囲が狭くなったはずなのに、夕暮れの空が妙に広く感じた。
あれはきっと、視界じゃなく、心の目がひらいた瞬間だったんだな。

見えなくなるってのは、怖い。だけどそれ以上に、いろんな「当たり前」が当たり前じゃなかったってことに気づく。
その気づきが、ジジイをちょっぴり賢くする。ありがたくもあり、ちょいと皮肉でもあるけどな。