だんだんと夜道が怖くなってきた頃だ。
街灯のある道でも、まるで真っ黒い墨を塗られたみたいに、視界がスコーンと抜け落ちる。
ついに「夜の外出、原則禁止!」というマイルール発令。ま、ジジイの門限は早いに越したことはないけどな。
暗がりでは、段差やポールがまるで“かくれんぼ名人”みたいにひょいっと現れる。
見事につまずき、顔面から地面にご挨拶…。
「俺は一体、何と戦ってるんだ…」って、自問自答しながら立ち上がる姿はもはや芸人級だよ。
でも、それもだんだん慣れてくるんだよな。不思議と。
白杖を手にしてからは、周囲の人がちょっと優しくなる気がしたし、道ゆくオバチャンに「がんばってるねぇ!」なんて声かけられると、急に元気になる。
ジジイの誇り?そんなもん、とっくに玄関に置いてきたさ。
それより、転ばず歩けた一日を「今日もグッジョブ!」って褒める毎日。
少しずつ、闇との共存に慣れてきた。
そう、“見えにくさ”は敵じゃなくて、新しい相棒。そう思えば、怖くなくなるもんさ。