白杖ってのは、ただの“杖”じゃない。
それを持つってことは、「私は目が不自由です」って、世間に堂々と宣言するってことなんだ。
つまり、ジジイ的には、プライドを丸裸にされるくらいのインパクトがある。
初めて握ったとき、手が震えたよ。
「これ持ったら、周りにどう見られるんだろう…」なんて気になって、結局その日は家に戻しちまった。
でもな、無様に転んで人様に見られたらみっともない、そんな見栄なんてどうでもよくなる。
「かっこつけてる場合か!」って自分にツッコんだね。
使い始めてわかったんだけど、白杖って、むしろ“勇者の剣”みたいなもんだ。
これがあると、人や車が譲ってくれる。
親切に声をかけてくれる人もいるし、エレベーターの“開”ボタンを押してくれる紳士もいる。
捨てたプライドの分だけ、世間のやさしさが身にしみるようになった。
ジジイは今日も、白杖片手に町を歩く。
転んだっていいじゃない。かっこ悪くても、前に進む姿はきっと誰よりイカしてる。 かも