だ。また転んだ。
視界がぼやけるもんで、どうしても歩き方が「そろ〜りそろ〜り」になってしまう。
でもな、ほんの2〜3センチの段差にすら、すぐつっかえて転ぶんや。
昔から「年寄りは足を上げんから転ぶ」とよう言うけど、ジジイしゅう、ついに仲間入り。
見えづらさと加齢のダブルパンチやね。
ただ、わしの場合はちょっとシャレにならん。糖尿病持ちやから、転んで擦りむいた程度の傷でも治りが遅い。菌でも入ろうもんなら、医者に「最悪、切断やぞ!」と脅されたこともある。笑えん話や。
でもな、ふと思うんや。
実はわしの人生、ずっと転びっぱなしやった。
「あの時も転び、この時も転び」。仕事で、家庭で、人間関係で……人に言えんような転倒エピソードなんて山ほどある。
そして今、人生の後半戦で迎えた“大転倒”。
視覚障害者という新しいハンデを背負わされた。でもそれは、「仕切り直せ!」っていう天からの合図かもしれんな。
転ぶたびに痛い思いをして、みっともなく這い上がってきた。けど、それでも立ち上がり」続けてきた。
だからこれからも、負けへん。
残りの人生、棺桶に入るその時まで、しぶとく転び、しぶとく起き上がって生きてやる。
ジジイは転んでも、ただでは起きんの